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10月15日(火) 第3回リーダーシップ基礎「リーダーとの対談(森林貴彦氏)」

本日の講義の内容

▼森林貴彦監督・田村先生 ― リーダーとの対談
慶應義塾幼稚舎教諭で、慶應義塾高校硬式野球部監督の森林貴彦氏にお越しいただきました。昨年、慶應義塾高校を107年ぶりの全国優勝に導くという快挙を成し遂げられた際に話題となった「Enjoy Baseball」のキーワードや、小学校教諭&高校野球監督という異例の組み合わせから生まれる独自の視点など、幅広くお話をいただきました。直接お伺いできる貴重な機会に学生からの質問は止まることなく、授業後にまで質疑応答が続きました。

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

●経済学部2年
森林さんのご講演をお聞きした中でもっとも印象的だったのは、Enjoy Baseballは楽しい野球ではなく、より高いレベルの野球を愉しもうということだった。地道な練習の積み重ね・試行錯誤・切磋琢磨・怪我や故障などのプロセスも含めて愉しむ、というのが自分のサークルでの活動にも通ずるところがとても多いと感じた。Enjoyと聞き、わいわいと楽しむような印象を持つが、そうではなく真剣に活動に取り組み、様々なことを経験し、感じとり、自分の内面と何度も向き合うことが大切だと感じた。また、振り返ってみればそのプロセスを良かったと思えればよく、日々辛いことは自然なことであり、普段は自分の少しの変化・成長を自分で認めてあげられることが重要だという話も非常にためになった。また、支配的になるのではなく、生徒の主体性を大切にするという森林さんの教育観にとても納得したし、このような風潮が広まると良いと感じた。

●法学部政治学科2年
森林監督という日本で有名な方の講義を受けられるのはとても貴重な機会だった。森林監督これまでの監督、指導者の立ち位置という固定概念にとらわれずに指導している方ということで有名であるため、具体的な考え方や方針を知ることができてよかった。特に印象深かったのは、ドローンのような視点を持って全体をみているという監督の立ち位置についてだ。チームの先頭に立ってこれまでの自分のやり方をやり通し、先導するのではなく、全体を俯瞰してみることを大切にされているのがわかった。その視点により、たった数人でも違う方向を向いていたり、まとまりがなかったりした場合にすぐに気がつけるとおっしゃっていたことに感銘を受けた。私は自分のことや目の前のことに必死になってしまう傾向があるため、全体を俯瞰できるような人を目指したいと思った。

●経済学部2年
今日の授業では、自分自身の成長や教育において重要なポイントが多く含まれていた。
まず、「自分にとっての幸せを自分で追求する時代」という言葉が印象に残った。現代では個々が自分の価値観や幸せを追求するべきであり、その過程で他者との違いを理解する必要がある。「隣にいる人と考えていること、考え方、受け取り方は全然違う」というのは、これから社会に出るにあたって、忘れてはいけないと思った。
また、「任せた!がやる気をつくる」というのは、責任を任されることで人は自信を持ち、やる気を引き出されるという、効果的なリーダーシップのあり方を示している。また、「小学生を見てから高校生を見ると、大人だと感じる」「二刀流だと、高校生を大人扱いできる」という言葉からは、森林さんの幼稚舎教諭と高校野球監督という立場からしか得られない価値観だと思った。
特に印象的だったのは、「練習や準備が試験、試合は答え合わせ」という考え方である。日々の練習や準備こそが本番の結果に直結し、本番はその確認に過ぎないという見方である。また、「大事なのは発する量ではなく伝わる量」という指摘は、教育やコミュニケーションの本質を捉えている。単に多くを伝えるのではなく、相手にきちんと伝わることが重要である。
これらを踏まえ、現状維持は衰退と同じであり、常に向上心を持って行動することが求められる時代であると改めて感じた。

●商学部1年
森林さんの考え方や、視点には新たな発見が多くとてもためになる授業であった。特に、部が監督色に染まらず生徒自身が考えることを一番にしていることや、発する量よりも伝わる量と言う考え方が、他の高校の部活と比べると異なっている点であると感じた。また、自分の専門外のことで悩んでいる人に対して何と声をかけるかという話の際に、リーダーが何かを与えるという固定観念をなくして、一緒に考えようという姿勢をつくるということは印象的であった。自分が分からないことでも何か答えを導いてあげないと、という意識は多くのリーダーの人が持っていると思うので、そういった考え方でなくてもいいのだなと感じた。また、私はこの間ある失敗をしてすごく引きずってしまい、チャレンジから遠ざかりたくなっていたが、失敗は経験でありどんどん挑戦していかないと自分が成長できなくなるという話をきき少し気持ちが軽くなった。同じ状況でも考え方ひとつで見え方がこんなに変わるということが今回とても学ぶことができた。

●商学部3年
森林さんのお話では終始「リーダー」という「いち役割」がどう在るべきか、その役割を通して自分がどう在りたいのかを意識させられたように思う。 そもそも、リーダーとメンバーは上下の関係ではなく、役割が違うだけという言葉が印象的だった。今まで自分はリーダーだからメンバーを導かなければならないといったプレッシャーや、どうしてメンバーは自分と同じように動いてくれないのかというストレスを感じた経験がある。しかし、この時の感情を「自分とメンバーの役割は違う」という観点で振り返ると、導くというプレッシャーを感じる前にあくまでファシリテーターは務めながらメンバーでチームの方針を議論すればよかったし、自分と同じ動きをしないことこそメンバーの役割・価値であると素直に受け入れることができる。 監督という役割の在り方自体を考え、上下ではなくフラットな関係を築いている森林さんだからこそ、生徒から信頼され応援のネタになる程慕われているのだと学んだ。 自分も今後、リーダーであってもそうでなくてもそのチームでの自分の役割は何か、自分にしか提供できない価値は何か、独自の視点で追求する姿勢を意識してみようと思う。

●経済学部2年
本日森林監督に関しての幼稚舎での教員としての目線と、高校野球の監督という目線での指導方針がとても現代的で革新的だと感じた。森林監督がおっしゃっていたように、小学校の教員と高校野球の監督を兼任している方というのは前例がなく、だからこその従来の監督方針の違いを生み、またそれこそがリーダーの考えだと学んだ。自分で考えて、追求することの重要さ、そして手伝うのが指導者の役割というのがリーダーの教え方としてとても洗練されていると思った。また任せることがやる気を生み、期待が裏切られても失敗が経験となるという考えは、生徒側だととても勉強になる経験であり、また大人としての長所と子供としての長所どちらともみていることがとても強みだと感じた。今回の授業の中で自分の中でのリーダー像というのが少し変化し、指示をしているだけがリーダーではなく、自分のチームメイトや、生徒などをあえて信じて任せるというリーダー像について学んだと同時に、慶應義塾の独立自尊の考えと通じるものを感じた。