本日の講義の内容
▼田村先生 ― (講義)傾聴・対話のポイント
▼社会人TA古山さん ― (演習)ポジティブ・フレーミングの実践
前半では、田村先生より、傾聴・対話のポイントについて講義がありました。相手と肯定的にコミュニケーションをとるポジティブ・フレーミングが重要であり、そのためには相手の価値理解(アプリシエーション)とお互いを尊重した主張(アサーティブネス)がポイントとなることを学びました。
後半では、ポジティブ・フレーミングが求められる具体的な事例に対して解決策を学生同士で話し合いました。自分たちの身近な例をもとに考えることで、実際に起きたらどう対応するかを真剣に考えることができたようでした。
履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋
●経済学部2年
日本では、主張を行うこと自体が攻撃的である為、傾聴を中心に対話を行うことが重要である。相手の考え方を尊重しつつ、自分の考え方も尊重するのが大切。自分はまず自分の考えや意見を主張してしまいがちだな、と思った。いつもそれをすると自分が主導権を握ってしまって、能動的なチームからのレスポンスが減り、気が引けてしまうことが多かった。まず他の人の意見を聞くことから始めるのがいいと思った。そして早速それを実践してみたが、みんなの意見をまとめるのが難しかった。まとめてひとつにして発表するために、最終的にみんなの意見をまとめたわたしの考えを伝えて合意してもらったが、なにかその時にも意見をくれたり、改めて背中を押してくれる人がいたらいいなと思ったので、わたしもそのようなファシリテーターを後押しできるような動きをしたいと思った。
●法学部政治学科2年
本日は、「お互いを尊重した主張」について学んだ。この講義で思い出したことは、高校時代の部活動である。私が所属していた部活動は、個々のキャラクターが濃く、同期の人数も少なかったため、話し合いの際に喧嘩のようなムードになってしまうことがよくあった。皆「こうすればいいじゃん」「なんでこうしないの?」など、直球でとげのある言葉ばかりを放っていて気分が悪かった。そんな中私は、言いたいことがあっても、自分の意見を言えなかった。あえて言わなかったという方が正しいかもしれない。自分が言ったことにいてどうせ否定されるのだろう、と思ったからである。それで部活の雰囲気がさらに悪くなるなら言わない方が良い、又、人と争うことが面倒くさいと考えてしまう。このような最悪の事態を避けるためにも、話し合いをする場での雰囲気や、相手を一旦肯定してから意見をいうことはとても大切である。高校生以来、私は納得がいかないシチュエーションに出くわした時に意識的に行っていることがある。それは、「疑問形で議論を進める」ということである。「どうしてそう考えたの?」「あなたは何がしたいの?」など、低い姿勢で聞くと、大抵の場合は喧嘩にならずに解決する。相手に発言権を与えることで、相手もすっきりすると思うし、自分も相手の真の心を聞くことができるからである。
●理工学部1年
日本では主張すること自体が攻撃することと同一視されていると先生がおっしゃっているのを聞いて、私は強く共感した。個人的なその人に対する嫌悪の感情とその人の意見への同意又は不同意というのは全くもって関係ないはずであるのに、分けて捉えない人が多いように感じる。これがまさに、ドイツでの留学を終えた際に日本で覚えた違和感の一つである。誰も食い止めることが出来なかった悲劇的な歴史を作ったナチスへの反省から、「あなたの意見は何か」を主軸に置いた教育に戦後舵を切ったドイツの教育方針と対照的な日本のそれを顕著に感じたわけであるが、その瞬間が本日の講義を聞いて思い出された。また、日本語は英語と違い言葉尻を考慮しなくては同じ内容でも相手に失礼に値することがあるというのは興味深かった。年功序列や伝統を重んじる文化によって築かれた敬語という存在は、世界的に見ても希少価値が高いので日本特有の文化として大切にすべきだが、フラットな環境作りという観点からみると、会社や学校といった集団の中でのあり方を考え直すべき存在であると感じた。ケーススタディでは予想に反して保守的な考え方の学生の多さに驚いたが、様々な場合分けの下で建設的な議論が出来た。来週からの講義にまた期待したい。