本日の講義の流れ
▼田村先生 ― (講義)交渉におけるSMARTアプローチ
▼社会人TA古山さん― (演習)交渉に関する注意点・フィードバック・SMARTアプローチの実践
本日の講義では、田村先生よりSMARTを用いた交渉について講義していただきました。
まず冒頭では、田村先生からWILLについて、そして、模擬交渉の意義について具体的な事例を交えながら説得的かつ包括的に解説していただきました。
講義で交渉に関する基本原則を確認した上で、トラブル時を想定した模擬交渉に臨みました。
交渉前にはそれぞれの当事者が認識のすり合わせを丁寧にしていただいていたようです。
模擬交渉中においては、それぞれが傾聴の姿勢を大切に、決して一方的にならないように心がけた対話をしていただきました。
その後、社会人TA古山さんより、交渉パートの振り返りが行われました。各当事者間で認識する事実の違いから、交渉の合意を目指すことを難しく感じた学生が多かったようです。
互いの利害関係を明確化し、互いの利益になるような合意を議論することによって、SMARTアプローチを身につけることができました。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋
●法学部法律学3年
今回の授業では、交渉において「立場から利害へ」視点を転換する重要性を学んだ。単に自分の主張を押し通すのではなく、相手の利害や関心を理解し、共通の利害を見つけることで、より良い解決策が生まれることが示された。私は、来年部活内の幹部の一員になることが決まっている。そのため、同期とぶつかることがあっても、はじめに相手の意見をしっかりと聞いた上で理解し、話し合いながら良い部活環境を築き上げていきたいと思った。
また、「人と問題の分離」の考え方では、相手個人を否定するのではなく、問題点に焦点を当てることが対話と信頼構築の鍵になると学んだ。「三方よし」という考え方も印象的で、交渉において当事者双方だけでなく社会全体の利益も意識することが、長期的な信頼につながると理解できた。今後の対人関係や話し合いの場面でも、この視点を意識したい。
●法学部法律学科4年
今回の授業では、実践的な事例を通して交渉のやり方を学んだ。
前回は交渉の漠然とした難しさを感じたが、今回のワークでは特に、互いの事前の印象=先入観による難しさが際立っていた。着眼点の違いだけで、先入観が構築されてしまい、大きな食い違いが起こる事実に驚いた。今回の事例をとおして、視点を変えることで問題の本質を捉えることができ、傾聴、事実確認の大切さを改めて感じることができた。
表面的な事柄だけでなく、問題の核心を理解することの重要性を実感した。社会に出れば、このような事例に頻繁に遭遇するだろう。
まず自身が先入観にとらわれず駆け引きとしての交渉に陥らないよう事実確認をすること、そして相手にも自分を理解してもらうこと、これを徹底することにより、問題の本質を見極め、丁寧に交渉することで、より良い解決策を見出せると確信した。普段から自身の事例を想像しながら、積極的に取り組んでいきたい。
●法学部法律学科3年
今回の講義では、交渉における基本原則として「立場から利害へ」と「人と問題の分離」を中心に構成されており、非常に実践的で理解しやすい内容だった。
特に、表面的な主張や立場に固執するのではなく、相手の利害や関心に注目し、共通の利益を広げていくという視点は、対立ではなく協調を生む交渉の核心を突いていると感じた。また、自動車業界の事例は抽象的な理論を現実に落とし込むうえで効果的であり、相手の経営課題や事情を知ることの重要性を実感できた。「人と問題の分離」についても、対人関係の摩擦を避けながら本質的な問題解決を目指すための基本姿勢として納得できる内容である。「三方よし」の考え方も、日本的な倫理観とハーバード流交渉術が交差する興味深い部分であり、交渉を社会全体の利益として捉える視座を提供していた。全体を通じて、現代の多様な交渉場面に通用する実践的知見が詰まった内容であり、今後に実践していきたいなと感じた。

