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10月16日(月) 第3回リーダーシップ基礎「リーダーとの対談(森林貴彦監督)」 ~日吉キャンパス

本日の講義の流れ

▼森林貴彦監督・田村先生 ― リーダーとの対談

慶應義塾幼稚舎教諭で、慶應義塾高校硬式野球部監督の森林貴彦氏にお越しいただきました。今年の夏、慶應義塾高校を107年ぶりの全国優勝に導くという快挙を成し遂げたられ、にこやかな選手たちの様子や「Enjoy Baseball」のキーワードも広く話題になりました。

従来の高校野球の常識にとらわれない独自のやり方で、忍耐強く選手育成に取り組まれてきた森林監督から、普段心掛けている7つのポイントについてお話しいただきました。直接お伺いできる貴重な機会に学生からの質問は止まることなく、授業後に教室の外まで質疑応答が続きました。

講演の詳細については後日、「リーダーとの対談録」を制作予定です。

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

● 法学部法律学科2年生

森林監督の「縁がない時は準備する時間。無駄な時間は一瞬もない。」といった旨の発言が特に印象に残った。高い志を持ち、それを実現するために準備を徹底することの重要性を繰り返し強調されていたが、解像度を高く描き目標達成に執着し続けるからこそKEIO日本一が実現に繋がったのだと感じた。私は体育会生だが、部室に飾ってある吉田松陰の「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」の言葉がまさにそれだなと思いながら聞いていた。

また、モチベーションが下がってしまった時の対処に関する質疑応答で、森林監督はモチベーションが下がることはないと仰っていた。行動することで自分よりも高いスキルを持っていたり、自分の理想に近い組織に出会う場面は森林監督でも多々あると思う。そうしたときに、自己否定に陥るのではなく、課題点を洗い出してそれをモチベーションに変えていけるのが素晴らしいと思った。すごい人に会うことで比較して落ち込むのではなく、そこから学ぶ。落ち込む暇があったらどんどん参考にして成長につなげる、それをまずは私もできるようになろうと思った。

● 商学部2年生

森林監督から高校野球部のリーダーとして重要視している事を大きく7つに分けてお話しいただき、質疑応答を行った。これらを通して感じたことは、森林監督の考えるリーダーシップの根底には自分との対話が不可欠であるということだ。私は「頑張りきれずに落ち込んだときどうするか」という質問をした。これは森林監督の掲げる7つの要素が自らの甘さを許さないようなストイックなものに見えたために生じた疑問だったが、これに対して監督は「落ち込まない」と回答した。この返答には驚いたが、授業後に他の質問と併せて考えてみると、彼は「人は思い通りにならないこと」「自分1人の力は大した事がないこと」を認識した上で「自分の成し遂げたい高い志」を見つめ続け、その過程の困難すらも「楽しんで」いるのだと気づいた。つまり、監督は自分の志を常に見直し続けているため、そもそも「頑張りきれない」という事が少ないのではないかと考える。このことから、私はまず自分自身と向き合おうと思う。

その上で、今回お話しいただいた、より実践的なリーダーシップのあり方や心掛けを実際にサークルやインターン、ボランティア活動などに活かしたいと思う。

● 商学部1年生

森林監督に、「選手に考えさせるといったような、相手を信頼して何かをまかせるときにどんな心構えをしているのか」と質問すると、「信じる、待つ、許す」「そして否定しない」と、お答えいただいた。否定しないというところは、『「リーダーシップ基礎」入門』の傾聴の部分にも書かれていたことと共通していた。自分はつい否定から入ってしまう癖を直そうと意識しているところだったのでよりそのことの重要性を感じた。また森林監督は、「相手の視点に立った時、成果物を否定されたら、もう2度と出してやるかという気持ちになるよね」とも仰っていて、フォロワー視点に立つと自ずとやるべきことが見えてくるのかなとも感じた。

周りを巻き込んでいくと言う時に、やはり自分が何をやりたいのかプレゼンできる準備を徹底しておくと言うのは、以前社会人の方とお話しした時にも、「あなたという人物像がハッキリしていないと人がついてこない」と言われたこととクロスオーバーしていて、とても実感が湧いた。

伝えたいことを絞ると言うのも、過去にゲーム制作のリーダーをしていた時、自分の言いたいことばかり言ってメンバーとの対話が出来ていなかったという経験と重なり、心に響いた。

● 法学部政治学科2年生

準備を徹底することの大切さを学んだ。自分は振り返ってみれば、ここ最近プレゼンなどで、前日に時間がないことや疲れを言い訳にして準備を疎かにすることが多々あった。しかし、当たり前だが準備が伴っていなければそれ相応の結果しか返ってこない。だからこそ「日々の練習を試験当日だと思い、試合はただの答え合わせ」と捉える発想が自分にとって新鮮だった。この心持ちでいれば、試験に臨む覚悟で日々自分のやるべきことに集中して向き合い、本番は緊張せずに肩の力を抜いて戦える。クーリングタイムの想定やイメージトレーニングにも時間を使っていたというように、いかに本番を想定した準備ができるかを意識したいと思う。

決勝戦で丸田がホームランを打った時の風向きの話、奇跡は本当にあるのだと鳥肌がたった。決勝の後に日吉キャンパスに虹がかかったという話も耳にした。人間を超えた目に見えない存在がいて、それを味方にするには、何か正解かわからなくても、とにかく目の前のことに全力で取り組むことに尽きると感じる。日々の努力や研鑽の結果が運や勢いとなって返ってくるのだろうと思った。

● 法学部政治学科2年生

「チームで目指す高い志、これをチーム全体に共有し浸透させるにはどうすればいいのか」

これは、私がインターン先で直面した壁である。今のチームには、共通して目指す志どころか目標目的すら統一されていない。まずはこの志を統一し、それぞれのメンバーが細部までこだわり、最大まで自分のできることをやる環境を整えるのが重要だ。そんな中、この志をどのように浸透させるか、2つの視点からアドバイスをいただいた。

一つ目は、チーム全員に主体性を持たせるため、ボトムアップの意思決定が必要だ、ということだ。たしかに、この志は自分と少数の人間で設定していて、全員が押し付けられている構図だったのだ。全員が参加するミーティングで、全員で意思決定するという形が必要だった。

二つ目は、リーダーである自分が、諦めず浸透するまで言い続けるということだ。同じ文言を言い続けても仕方がない。魅力的な言葉で何回も言い方を変えて、私が言い続ける。一番重要なことは、諦めないことだと感じた。何回失敗しても、その都度立ち直り、工夫し続けられるか、これが重要なのではないかと、森林監督と話してひしひしと伝わってきた。実際に、今日は質問をするという自分では新たな一歩を踏み出せたので、これから毎授業で成長できるよう何回も挑戦し、何回も失敗し、何回も工夫し続けていきたい。