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 4月22日第3回交渉学「対話力①」

▼田村先生 ― (講義)対話の基本(演習)ケース演習

今回からリーダーシップ基礎力の4要素のうち、2つ目の「対話力」に入りました。まず自己紹介セッションを行った後、よくある会議例での問題点を参照しながら、対話と会話の違いやパワープレイの対処について、田村先生からご講義いただきました。
対話とは何かを踏まえた上で、強盗事件の事例について、被害者側と加害者側の立場から議論を行いました。対立する立場の両方から考えることによって複眼的思考を育むとともに、問題解決に必要な2つのアプローチを学びました。
次に田村先生がご用意されたケースについて、取締役会を想定し、その企業がとるべき今後の対応について議論しました。
これらの議論を通して、各利害関係者の立場を踏まえながら、問題解決を目指す演習を行いました。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋

●法学部法律学科4年生
今日の講義・演習を通して、効果的な「対話」とは何かを深く学ぶことができた。特に、会議における「パワープレイ」や「集団極性化」といった問題が、個々人の意見や創造性を抑え込んでしまう原因になることを理解した。活発に見える議論でも、傾聴力が欠けていたり、承認欲求が先行することで、本質的な対話が成立していないことがある点は印象的だった。また、「会話」と「対話」の違いを明確にし、意見の違いを恐れず受け入れ、問題解決に向けて協働する姿勢の重要性を実感した。今後は、自分自身が対話を促進する立場として、相手の意見に耳を傾ける姿勢を持ち、建設的な議論をリードできるよう意識していきたい。
この学びを、チームでの信頼関係が重要な体育会ボート部の活動にも活かしていきたい。

●法学部法律学科4年
今回のグループワークでは、対話を重ねることの難しさと面白さを強く実感した。1つ目のケースでは、人命か会社の資産かという選択の中で、遺族側と銀行側のどちらも筋の通った論理が成り立つことに気づいた。真逆の立場から主張をしているはずなのに、一度片方の立場に立つと、その主張を正当化しようと没頭している自分がいて、とても不思議な感覚になった。また2つ目のケースでは、班内でも公表すべきか否かで意見が真っ二つに分かれ、今ある価値を守るか、未来の信頼を取るか、という思考の対立が興味深かった。ex postoとex anteという二つの時間軸で物事をとらえる複眼的思考が求められ、経営判断の複雑さを肌で感じた。どちらの意見にも一定の合理性があり、明確な答えはない。その中で、万が一のシナリオを積み重ねながらリスクを比較していく対話は、まさに企業の経営陣の思考であると感じた。講義の延長線上で、実務世界の決断の一端に触れたようで、とても刺激的だった。

●法学部法律学科3年
本日の講義では、会話と「対話」の本質的な違いを学び、真の交渉力には深い傾聴と相互理解が不可欠であることを実感した。対話とは、ただ意見を述べ合うのではなく、意見の違いを恐れず受け入れ、協働して問題を解決する姿勢である。実際の会議例からは、権威に従うだけの沈黙や、承認欲求が先行する自己主張が、いかに対話を妨げているかが見て取れた。私はこれまで、話し合いの中で“自分の意見を通すこと”に偏りがちだったが、相手の論理や意図を丁寧に聴くことが、真に建設的な交渉につながることを学んだ。
また、パワープレイに屈せず、対話的に返す態度は、日本人の持つ強みとも重なると感じた。今後は、問題解決のための「対話」の力を意識して、主体的に実践していきたい。