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6月10日(火) 第9回交渉学「交渉力③」

本日の講義の流れ

▼田村先生ー(講義)協議事項の交渉について、三者間交渉内容の概要説明
▼TA古山さんー(演習)三者間交渉
自己紹介セッションの後、田村先生の講義では、協議事項についての交渉におけるポイントを整理しました。協議事項について丁寧に交渉相手と話し合うことの重要性や、協議事項の準備における3段階のプロセスについて学ぶことができました。
次に三者間交渉のケーススタディにおいては、利害関係の対立している二者とその仲介者の各役割に分かれ交渉を行いました。最初に各役割に応じて、同じ立場同士の作戦会議を行い、協議事項の明確化や本件交渉のミッションについて話し合いました。前回までの学習を踏まえつつ、議論を深めることができたようです。この作戦会議を踏まえた上で、三者間の交渉を行いました。仲介者を中心に議論することで、交渉における三者間の共通のミッションを形成し、協議事項に基づいてお互いの利害関係について理解を深めることができ、学びの多い交渉を行うことができました。
その後、交渉内容から仲介者は仲裁案を提示し、その仲裁案についてさらに利害関係に基づいて議論、修正を行いました。三者間ならではの交渉の難しさや、仲裁者の立場としての議論の展開について学ぶことができた様子でした。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋

法学部法律学科4年
 今日の演習では、主に議論に入る前の議題設定が如何に大切かを学ぶ事ができた。
 前々から今週は難しいケースを扱うと聞いていたため、それにより挑戦意欲を搔き立てられ、前回以上に集中して取り組むことができた。そのおかげもあり、仲裁者という慣れない立場からの議論でありながらも、今までケースの中で一番感触が良かった。その要因としては集中力の他に、当事者を交えた話し合いの前に問題を正確にとらえ妥当な結論を導きだすための判断枠組みの導出に成功していたことが挙げられる。責任の公平な負担という点で普段の法律学学習と共通するところがあり、そこで学んだ丁寧な利益衡量の姿勢が活きた。
 そしてここで適切な枠組みに沿って議論がすすめられるかが、議論の質を決定付けるように感じた。結局話がそれないようにする等ケース後に他の人が挙げていた仲裁者の役割も、適切な判断枠組みを欠いた状態であれば機能しない。その意味でもやはり、冒頭の講義であったように適切な議題提案に時間を割くことは本質的なプロセスであると考えた。
 しかし今回の成功は手元の資料に枠組みをくみ上げるうえで必要な情報が記載されていたからであり、現実のケースでは完全な情報が手元にないことも多々あるはずである。当事者の主張に耳を傾けながら、それに合わせて適切な問題解決の切り口を見出すことができるようになればさらにレベルアップできると思った。

法学部法律学科4年
今回の授業では、交渉を効果的に進めるためには「協議事項」の整理とその交渉が重要であることを学んだ。交渉を始める前にバルコニーの視点から自分と相手の状況を客観的に把握し、ステークホルダー分析を行うことで、相手の立場や準備内容を推察することが可能になる。また、協議事項はMECE(漏れなく、重複なく)の原則に従って整理し、重要度に応じて優先順位を決めることが求められるのだと学んだ。特に、交渉では合意しやすい項目から話し合うことで、相互理解が深まり、全体の交渉を円滑に進められるという点が印象的だった。自分自身も、交渉の本題から入ってしまい、交渉がうまくいかず議論が難航することがあったので、まずはお互いに合意しやすい項目から話し合い、相互理解を深めていくことを意識してみようと思う。交渉する際は、内容の交渉に入る前段階として「協議事項交渉」を丁寧に行い、交渉全体のマネジメントを意識したい。

法律学部法律学科4年
本日の授業では、コミュニケーション、交渉を客観的に捉えるうえで非常に重要だと学んだ。私は体育会ボート部に所属しており、日々の練習や大会に向けた準備のなかで、同じ8人乗りのクルーのメンバー同士の意見が対立する場面を何度も経験してきた。その際、感情的にならず、一歩引いて全体を俯瞰することで、相手の立場や背景を冷静に理解し、建設的な議論につなげることができた。このような経験は、授業で学んだ「交渉を上から見つめる視点」や「ステークホルダー分析」の重要性と一致していると感じる。また、「協議事項の整理」や「MECEによる論点の抽出・整理」は、複雑な交渉をスムーズに進めるうえで非常に有効だと実感した。今後は交渉の時間軸を意識しつつ、事前準備や傾聴力を大切にし、相手との信頼関係を築きながら、よりよい合意形成を目指していきたい。