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7月6日(月)第12回交渉学「交渉力④」

本日の講義の流れ

▼田村 次朗先生(慶應義塾大学 名誉教授)ー協議事項講義
▼古山 彰先生(KGRI連携所員) ― 演習 買収交渉

今回の講義では、冒頭に田村先生より、交渉における重要な要素の一つである「協議事項の整理」に関してご講義いただきました。
講義では、協議事項をどのように整理し、交渉の場でどのように扱っていくべきかについて、具体例を交えながら解説していただきました。交渉を進める上では、単に自らの主張を伝えるだけではなく、何について話し合うのかを明確にし、相互理解を目指しながら協議を進めることが重要であることを学ぶ機会となりました。

その後のケースワークは、古山さんにご担当いただきました。今回のケースは、これまでのものと比べても協議事項がより具体的かつ解像度高く設定されており、受講者の皆様には、講義で学んだ内容を意識しながら交渉を展開する姿勢が見られました。
また、各ペアが相手方の立場や意向を確認しながら、協議すべき事項を丁寧に整理し、合意形成に向けた対話を重ねていました。回を重ねるごとに、相手を出し抜くような欺瞞的な交渉ではなく、双方にとって納得感のある、Win-Winの交渉に近づいてきているように感じられます。

次回は、法的な視点も取り入れた、より社会的な模擬ケースに取り組む予定です。これまで培ってきた交渉の姿勢や協議事項を整理する力が、より複雑なケースの中でどのように活かされるのか、受講者の皆様の取り組みに期待しております。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋

⚫️法学部法律学科3年生
今回の授業で最も印象に残ったのは、交渉はその場の話し合いではなく、事前準備によって成果が大きく左右されるという点である。特に、Situation・Stakeholder・Scenarioの3つの視点から状況や利害関係者、協議事項を整理するという考え方は、交渉を論理的に進める上で重要だと感じた。また、協議事項をMECEで整理し、相手の利害を踏まえて優先順位や交渉する順番を決めることで、相互理解を深めながら合意形成を進められることを学んだ。私は体育会ラクロス部で海外遠征の企画・運営を担当しており、大学や現地チームとの調整では、相手の立場や関係者を整理し、合意しやすい内容から話し合うことを意識していた。その経験を今回の授業内容と照らし合わせることで、自分が感覚的に行っていた準備には理論的な裏付けがあったことに気づいた。今後は交渉前に協議事項をより体系的に整理し、相手との共通認識を形成しながら交渉を進めていきたい。

⚫️法学部法律学科3年生
今日の授業では、SMARTアプローチのSを「Situation・Stakeholder・Scenario」の3つに分解し、特にScenario(協議事項の設計)の重要性を学んだ。従来は交渉の中身から議論しがちだが、実際にはまず話し合うべき協議事項をMECE(もれなく、だぶりなく)で抽出・整理し、優先順位をつけて交渉の順番を決めることが先決だと理解した。中でも印象的だったのは、協議事項の優先順位が相手の利害の反映であり、その確認自体が相手の本音を探る手がかりになるという点だ。相手が何を先に議論したがるかを見れば、立場の裏にある利害が読めるという発想は、前回学んだ「立場から利害へ」とも直結している。また、合意しやすい項目から交渉を始めて相互理解を深めるという原則は、対立点に飛び込む前に信頼関係を築く合理的な手順だと感じた。協議事項が双方で整理されていれば交渉の筋書きを共有でき、価値創造型の交渉をマネジメントしやすくなる。準備段階の設計こそが現場の成否を分けると実感した回だった。

⚫️法学部法律学科3年生
MECEに考えるためには、単にフレームワークや抽象的な整理の仕方を理解するだけでは不十分だと感じた。もちろん、漏れなく重複なく物事を分解するためには、3Cや4P、バリューチェーンのような枠組みを使いこなす力が必要である。しかし実際の課題では、表面的な分類だけでは本質的な論点にたどり着けない。業界構造、顧客の行動、企業の置かれた状況、過去の経緯など、課題の背景を具体的に理解して初めて、どの切り口で分解すべきかが見えてくる。また、自分の中に事例や知識の引き出しが多いほど、抜け漏れに気づきやすく、議論の幅も広がる。反対に、背景理解が浅いまま枠組みだけを当てはめると、一見整理されていても、現場感のない分析になる。今後は、業界や企業の事例に触れ、考える材料を増やしたい。したがってMECEとは形式的な整理力だけでなく、現実を深く理解し、多角的に考えるための知識量と経験に支えられた思考法なのだと思った。