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5月1日(月) 第4回交渉学「交渉学①」 ~三田キャンパス

本日の講義の流れ

▼田村先生―対話の基本ポイント(講義)
▼田村先生・社会人TA古山さん―グループ対話(演習)

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

● 法学部法律学科3年生

今回の授業における学びは主に、問題解決の思考的アプローチについてである。演習では、問題解決のアプローチには「遡及アプローチ」と「インセンティブアプローチ」の2種類があると知ったが、この2つのうち、特に「インセンティブアプローチ」が私にとって衝撃であった。
インセンティブアプローチとは、特定の問題の処理がその後の社会に対しどのようなインセンティブを生じさせるかを考えながら問題解決に取り組む手法のことを指すのだが、私は今までこの手法による問題解決を試みたことが一度もなかった。今までの人生の中で、自らの所属する組織における課題解決の際に、「過去の事例に学ぼう」という姿勢を一貫して取ってきたため、「問題解決によるその後の影響を考え、より良い影響を社会に対して及ぼせる問題処理を目指す」インセンティブアプローチは非常に新鮮であった。また、私は法学部に所属しているが、日々の授業における事例問題の解決では「過去の判例」がリーディングケースとして登場し、その判例を参考に自らの答案を作り、紛争解決の処理を考えることがほとんどである。
それ故に、「法律家は、遡及アプローチに強いが、インセンティブアプローチに弱い人が多い」という指摘を受けた時、まさに法律の実務における過去の事例の参照という作業がこの思考方式の固定化をもたらしているのだと気付き思わず息をのんだし、私自身の思考アプローチも固定化していることに気付き反省した。今回の授業で、インセンティブアプローチを学べたことは自分にとって本当に価値のある気付きになったと思う。近年、法律上の紛争についても、労働法や経済法など様々な分野において、従来の法体系では対応できない問題が多く発生しており、今後新たな問題に対する新しい法的解決が求められるようになるであろうことを鑑みても、インセンティブアプローチは法律においても極めて重要な思考アプローチであると言えるだろう。そのため私は、今後は遡及アプローチに加えてインセンティブアプローチも活用していきたいと考えている。

● 法学部法律学科3年生

一つ目の事例では全員が、先生の講義、相手の価値理解とお互いを尊重した主張を意識して議論したため、円滑に進んだ。しかし、その後に講じられた遡及アプローチとインセンティブアプローチのうち後者については議論の中で意見として出てこなかった。当初、一つのテーマで社会への影響まで果たして考えられるか疑問に思った。しかし、二つ目の事例でその点に意識を向けたとき、より広い視点で議論をすることができた。特に全体意見の中で出た、この事例が日本のその業界にどう影響を与えるかといった意見は、まさにインセンティブアプローチを考慮した意見だったと思う。今回の授業内容は、ビジネスに限った話でなく、日常生活に活かせると感じた。私自身、所属するサークルやバイト先で問題が生じた時、話を聞いてくれない相手に責任があると思い込み、問題の解決を諦めてしまうこともあった。しかし、今回の授業を受けて、自らの対話の姿勢を振り返り、再考する余地があると思った。