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5月15日(月) 第6回交渉学「交渉学②」 ~三田キャンパス

本日の講義の流れ

▼講義:田村先生 ― 意思決定のためのSPICEアプローチ
▼演習:田村先生・社会人TA古山さん ― グループ対話

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

● 法学部法律学科3年生

今回の授業の中心は「SPICEの法則」であったが、その中でもS・P・Cのステップから学びを得た。
まず、S・Pは一連のステップであり、問題解決の前提としてその問題に関わるあらゆる利害関係者を洗い出し、その様々な利害関係者の視点から問題について考えることを目指したアプローチである。ここで求められる「発言の無い利害関係者の意図まで読み取る」という考え方が衝撃であった。
私は普段の生活で自身に何か問題が生じた場合や、自らの課題を発見した場合には、それに対する解決策を自問自答して実践に移すことが多かったため、「課題解決とは自問自答をすることで解決策を模索するもの」であるという意識があった。私自身だけに関わる問題・課題を解決するにはそのアプローチだけでも成立するかもしれない。しかし、私が将来社会に出た時に直面するであろう社会課題は、当然自分以外の様々な立場の人が利害関係者としてその課題に関わり、極めて多様な考えをその課題に対して持つため、従来の「自問自答によるアプローチ」は全く機能しないと思われる。そのような社会課題を解決するにあたっては、解決策を考える前に、まず様々な立場にある他人の事情について調査・分析して考察を深めることによって、全ての利害関係者が利益を得られるような真に素晴らしい解決策を考案できるのであろう。「発言の無い利害関係者の意図まで読み取る」(=P)という意識は、自らの状況把握が過不足なく全ての利害関係者を網羅できているか絶えず問い直し(=S)、その後の十全な課題解決の足がかりとする、という意味で極めて重要な思考であると気付くことができた。
次に、Cはブレインストーミングによって、あらゆる解決策の選択肢を提示することを目指すステップである。私はそのステップの例として挙げられた「インフルエンス・ダイアグラム」と、以前学んだ「インセンティブアプローチ」との関連性を見出すことができた。インセンティブアプローチは、自らの決定がその後の社会全体にいかなる影響を与えるかを考え、最も良い影響を与えるであろう選択肢を採用する、という考え方であった。一方でインフルエンス・ダイアグラムは、ある選択肢が、その後どのような経過を辿るかについてあらゆる場合を想定し、全てのシナリオについてシミュレーションすることで様々な解決策の選択肢を生む、という考え方である。この2つには、「どちらも自らの行動や決定が後に与える影響や効果を考える」という点において共通性があり、インセンティブアプローチを習得することによってインフルエンス・ダイアグラムも高いレベルで実践できるのではないかと感じた。
また、以前学んだ内容を今回の授業で活用することができ、この授業での学びがきちんと力になっていると感じて嬉しく思った。S・P・Cのステップは問題解決におけるそれぞれの異なる段階の思考法を示すものであるが、それぞれの共通点は、「他者の立場になって考える」ことがその前提にあることだと思う。これからも「他者への想像力」を意識しながら授業を受けていきたいと思う。

● 法学部法律学科3年生

先生が強調されていて印象的であったのは、会議や話し合いの場面では自分の意見を言うだけではほとんど意味をなさないと言うことである。その場で発言していない人や、その問題に関わるすべての利害関係者をまずは洗い出す必要があるということを学んだ。確かに私も机上の空論でうまくいきそうなことを提案ししがちなので、そもそもの前提や枠組みを捉えるためにSPは非常に大事だということが理解できた。
また、話し合いにおいて「拡散」が重要であることも学んだ。SPでいかに多くの利害関係者を洗い出せるか、そしていかにたくさんの視点から様々な選択肢を生み出せるかが重要になると理解した。それらを考えると、やはり会議においては立場に関係なく誰でも意見を言える環境が大事である、というよく聞く言葉が本質的に理解できた気がした。
演習の事例では国を代表して意見を述べた。ただ、利害関係者を洗い出すことはできたが、自分が代表だと信じ込んで行ったので各国の納得いく案というより自国の意思を第一に考えて議論した。ただ、利害関係者を洗い出して様々な視点から意見を出したことで、納得感が強まって有効な意見を出すことはできた。色々な学びがあったが、先生が強調されていた特にSPの部分を意識して今後の議論などに参加していきたい。