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5月27日(土) 交渉学特別講義 – 福澤諭吉記念文明塾卒業生とのセッション

2023年度 交渉学特別講義の開催

昨年に続き、文明塾卒業生の方々をお招きした特別講義が開催されました。企画・運営から当日のファシリテーターまで、今年度も社会人TAとしてご参加くださっている古山氏が一手に担ってくださり、2度目が実現する運びとなりました。この場を借りて心より感謝申し上げます。

<ご登壇された文明塾卒業生(後列左から時計周り)>
・伏見崇宏氏(ICHI COMMONS株式会社 代表取締役)
・古山彰氏(福澤諭吉記念文明塾4期)
・小澤ひろこ氏(米国公認会計士)
・菅井映里氏(写真家/アジアパシフィックラクロス連盟理事)
・井上貴文氏(KUROFUNE Design Holdings 株式会社/国際学生寮 U Share
・韮澤一平氏(公認会計士)

第1部:慶應FBJロードランナーズ Leadership Team 4名(井上氏、菅井氏、韮澤氏、伏見氏)によるパネルディスカッション

冒頭で、それぞれ自己紹介を兼ねて、自らが学生時代に取り組んでいたことや、卒業後から現在のキャリアについてお話しいただきました。その後の対談時間では、キャリアの捉え方や、交渉学で学習しているWILLに関する考え方、人をマネジメントするための心構えなど、学生たちから多岐にわたる質問が溢れ出ました。これら一つ一つに対しパネリストの方々が丁寧に回答くださり、多様な視点に立った示唆に富む貴重な知見を共有していただく時間となりました。

第2部:演題「グローバル・リーダーシップ2050 ー グローバル人材の誤解とぶっちゃけの近道」

井上氏がご登壇され、「グローバル人材とは何か?」との問いかけがなされました。これに対して学生たちからは、他国の人を理解するために自国のことを深く理解している人材、寛容で他者の違いを尊重できる人材などの意見が出ましたが、あいまいな問いに対峙したときに、まずは問いの立て方、「グローバル人材」の定義づけから考えていただきたい、という大切なご指摘がありました。

そのうえで、グローバル人材とはグローバルに「通用する」人材という言葉を補い、そうなるためには、①マイノリティになること(多様性の中に身を置くと、他者の意見を尊重することの重要性を痛感する)、②幕の内弁当を作らずおにぎりを作ること(幕の内弁当はマスタープランニング、おにぎりはストラテジックプランニングのたとえで、後者的考え方で大局観をもつことが大切)、③人生のものさしを持つこと(社会から与えられるものさしではなく、自分が幸せだと思う自分なりのものさしを、しがらみがない学生時代に考えておくことが大切)、というユニークな表現でご説明くださり、最後に、掛け算できる変数を増やせ、というメッセージでしめくくられました。

井上氏が運営する国際学生寮 U Share 西早稲田では2023年秋期入寮生を募集しています。塾生の他、都内複数大学の多様な学生が居住しているそうで国際学生の比率は半数を超えるとのことです。興味のある方はこちらから。

第3部:文明塾卒業生が創る社会貢献活動 ー 林業からスタートした各種活動

伏見氏より、前回セッションでも紹介された、田島山業の「みんなの森プロジェクト」についてお話しいただきました。これは、文明塾卒業生主体のランニングチーム、慶應FBJロードランナーズによる社会貢献の取り組みの1つで、文明塾卒業生の一人が家業として携わる林業経営の問題を解決するために立ち上がったそうです。森林の木々は、脱炭素に貢献する資源でありながら、現在の日本の林業経営は、「木を売れば売るほど赤字」という状況であるとのこと。こうした問題解決に向けた具体的な活動内容についてご紹介いただきました。

また、前回受講した学生からもプロジェクトへの参加者が出ているとのことで、セッションをきっかけに活動の輪が広がっていく様子に、この講義の意義を改めて感じられたのではないでしょうか。

参加者の声

文学部3年生
今回登壇して下さった方々は、自分の人生の方針を常に明確に持ち、自分が納得のいく努力をされているように感じた。社会で生き残っていくために、いかに他の人とは違うことをやるか、自分の価値や希少性を高めるためにはどうすればいいのかを考えて自分が身を置く環境を選んでおり、自分にとって成長できる環境や人間関係を選んでいくことがいかに重要であるかを実感した。

また、自分の人生の軸や物差しが何かを常に自分に問いかけることの重要性も実感した。一度見出した物差しを常に更新し続ける機会を設けて、その時に自分が納得のいく選択肢を選べるようにするべきだと感じた。

法学部法律学科3年生
3点のことが特に印象的であった。まず、他者との差別化についてだ。自分の強みが他人と比較して目立たない、または秀でていないと感じる点は就活をする中でも感じる。しかし、それらを掛け算することが重要であると学んだ。

次に、私が他者への働きかけについて質問した際の回答についてだ。「ビジョンの共有」が重要であること、また、ある種の「諦め」も時には必要であり、同じレベルの熱量を持った仲間に出会うということも知ることができた。この後者の視点はなかったため、今後考えたいと思う。

最後に、問いの再定義という手法を学んだ。グローバルに通用する人材と再定義することで、問いに対する見通しがより立つように感じた。

文学部3年生
本日のセッションで強く感じたのは、「自分の興味関心外のトピックについてお話を聞けることの面白さ」だった。伏見さんの起業された「企業を繋げるサービス」も、林業に関わるプロジェクトもとても面白いと感じた。

また、一連のお話の中で、キャリアの掛け算の話は自身が今悩んでいる進路設計に直結する話であり、世間体よりも自身が進みたいと思う道を極めたいと感じた。

文明塾の同志が卒業後も討議や運動を通じた交流を行い、また林業プロジェクトなどの事業に参加し、さらにはマラソン大会への提案を行うなど、大人になってもその知的好奇心をより有効に活用している生き生きとした姿を見て、とても素敵だと思った。

法学部3年生
「グローバル人材とは」の定義を話し合った際、伏見さんが進行してくださったため、短い時間ではあったが色々な意見が出て、議論をまとめ定義づけできた。伏見さんは、自分の意見は一切仰っておらず、僕たちの意見を聞き、要点をまとめ、その共通項を見つけるよう示したり、ほかの見方ができるかもしれないと促したりしてくださった。交渉学の授業で学んだ「傾聴力」を伏見さんの立ち回りは体現していて、手本としてこれからの授業を過ごしたいと感じた。

また、班で話したことをまとめて2分間で伝えることの難しさを改めて感じた。積極的に発表したのはいいことだと思うが、メモをずっと見ながらだったので、次は人の目を見て話せるようにしたいと感じた。