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6月26日(月) 第11回交渉学「交渉学④」 ~三田キャンパス

本日の講義の流れ

▼田村先生―(講義)日本版交渉学における交渉の現場力、複雑な交渉における協議事項の交渉
▼田村先生・社会人TA古山さん―(演習)模擬交渉による実践力の育成

前半では、日本版交渉学の3要素である、論理・準備・現場のうち、現場について学びました。現場、すなわち実際の交渉の場における重要な考え方について紹介され、特に、日本に古くからある、近江商人の「三方よし」の精神を生かすことの重要性が説かれました。

後半では、講義の学びを実践的に身につけるため、前回よりも難易度の高い事例を用いた1対1の模擬交渉に取り組みました。双方ともかなり強気で交渉を行っていたペアもいれば、自分の情報をうまく相手に示し、信頼関係構築につなげたペアなど様々でした。前回の模擬交渉と同様、相手の考えや状況をいかに聞き出すか、その質問力が問われることを実感したと思います。

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

● 法学部政治学科3年生

今回の模擬交渉では、他者の視点やおかれている状況を想像することの重要性を学ぶことができた。交渉中はどうしても自身の要望を叶えるため、思考のベクトルを自分自身や達成したい目的に向けてしまいやすいと思う。私自身も、これまでなんとか自分の都合の良いように物事を解決できないかと、自分本位に交渉を進めることが多くあった。しかし、他者の視点から目的について考えてみたり、客観的に議論の論点について再考してみたりすることが、交渉をより本質的に成功させるポイントだと気づくことができた。

実生活においても、友人との対話、ゼミの議論、就活のグループディスカッションなどの場面で意見対立が生じた際に、視点を自分から他者へと広げ、争点となっている点はいかなるものか冷静に分析し、課題解決への道筋を立てられるように意識していきたい。そのためには、日頃から傾聴を実践したり、多数の事柄をうまく瞬時にまとめられるようにメモの取り方等の意識を変えたりしたいと思う。今回の模擬交渉を通して、アプローチの仕方1つで流れが変わるビジネスを短時間で体感することができ、非常に有意義な時間となった。

● 文学部3年生

今回最も意識すべきポイントは、協議事項について3段階のプロセスで準備することだった。協議事項を丁寧に抽出・整理する、協議事項の重要度に応じた優先順位を決める、そして、実際に協議事項の順番を決める。最初に協議事項の交渉を行うことにより、中身の交渉前に双方が概要を把握することができ、全体像を共有しながら交渉を進めることができると学んだ。

模擬交渉では、まずは事実を確認することを意識したが、そこでお互いの認識に齟齬が生じていて苦労した。また、模擬交渉前に自己紹介もせず、お互いを知ることなく交渉したため、緊張感が増し、ビジネスでも必要とされる真の力が試される機会だと感じた。反省点としては、例えば自分の職業を強調するといったように自分を大きく見せて、相手に屈しない姿勢を見せ過ぎていたのではないか、交渉を焦ったあまり、しっかりとした日本語をあまり使えていなかったのではないか、ということが挙げられる。次回はこれらを意識しながら交渉を進めていきたい。