KEIO
LEADERSHIP
CENTER

MENU

7月3日(月) 第12回交渉学「交渉学⑤」 ~三田キャンパス

本日の講義の流れ

▼田村先生―(講義)コンフリクトにおける交渉の方法
▼諏訪園貞明先生・社会人TA古山さん―(演習)模擬交渉による実践力の育成

今回は、交渉相手と緊張したコンフリクト状態である際にどのような心掛けで臨むべきかという、難しい交渉への対処の仕方について学びました。いくつかの要素がありますが、特に、「相手に期待しない」という考え方の重要性を社会人になって痛感する、というお話がありました。

後半では、前回よりも難易度の高い事例を用いて、初めて3者間で模擬交渉を行いました。これまでのケースでは特段の前提知識は問われませんでしたが、今回は専門的な知識も要する事例で、難しく感じた学生も多かったようです。何とか3者共通のミッションを達成しようと悪戦苦闘しながら議論する姿が見られました。また今回は、実際に数々の難しい交渉をご経験されてきた東京理科大学教授の諏訪園貞明先生にお越しいただき、学びを深めることができました。

履修生の学び ~講義後に提出される振り返りシートより抜粋

● 法学部政治学科4年生

これまでのケースと比べて合意に至るのが格段に難しかった。そして、合意に至るのが困難であればこそ、基本に立ちかえることが重要だったのだと感じた。

我々の班は、合意まで至ることができなかった。各々の前提条件を共有することに時間を費やしていたら、合意の案を1つ出した段階で時間が来てしまった。

このような結果の原因として挙げられるのは、今回調整しなければならなかったのが互いの課題だけではなく、互いの理念であったことである。理念が衝突したとき、傾聴するという姿勢は意識しないと崩れやすいのだということを今回のケースで実感した。すなわち、理念の問題になると、自分の立場がどういった論理で正しいのかをどうしても説明したい気持ちが先立ってしまい、まずは傾聴に徹するということが難しくなるのである。

傾聴をするという基本姿勢を、どのような難しい状況でも崩さないという心がけがいかに大切か、今回の授業で実感できた。

● 法学部法律学科3年生

今日のケースでは、公正取引委員会の立場の難しさを強く感じた。コンフリクトに直面した際に、公正取引委員会が条件の出し方を間違えると協議事項全てに大きな影響を及ぼすだけでなく、今後の取引事情にも深く関わってくるからである。他の2つのロールの考え方と異なり、公正取引委員会はここでの判断が自分達の存在意義を他者からどのように評価されるかに直結していたように思う。よって、本件では協議事項に対するアプローチや理想が三者三様であるため、意見調整のフェーズがとても難しかった。

これらの事情を踏まえて外形的に否とされる行動を認めてもらうためには、中長期的な目で見た際にどれだけ一般消費者の利益を考え、国益だけを追求した行動ではないかをアピールできるかが重要であると感じた。その点では、各々の利益を擦り合わせながら議論ができたように思う。

今までの交渉から一歩進み、一筋縄ではいかない交渉にあらためて難しさを感じたものの、本質に触れることができたように感じた。