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2026年4月20日(火) 第2回交渉学「傾聴によるコーチング」 

本日の講義の流れ

▼田村 次朗先生(慶應義塾大学・名誉教授)
▼古山 彰先生(KGRI客員所員) ― 講義・グループワーク

交渉における「人の動かし方」の本質に迫る、充実した第二回となりました。
講義冒頭では、リーダーシップに求められる基礎力とコーチングの在り方についてご講義いただきました。近年注目を集めるコンサルティングとコーチングの違いにも触れられ、受講者の皆様も関心高く耳を傾けていた様子が印象的でした。

講義後は、本格的なグループワークを実施しました。各自が自身の考えや想いを、それぞれの方法でメンバーに伝えており、第二回ながらも積極的な姿勢が随所に見られました。
最後に古山さんより、各グループのワークに対するフィードバックをいただきました。これを踏まえ、今後の取り組みがより実りあるものとなることを期待しております。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋

●法学部法律学科 3年生
本日の講義・演習を通して、交渉においては自分の考えを持つこととそれを他者に伝わる形で言語化すること、さらに集団として意思決定をまとめる力が重要であると学んだ。特に、初めてファシリテーターを担当した経験は大きな学びとなった。議論の進行自体は意識できたものの、各メンバーの発言を引き出しつつ、全体の方向性を一般の軸を通して示すことの難しさを実感した。また、自分自身のWillについてはある程度のイメージは持てていたが、それを2分間で具体的かつ説得力のある形に言語化することができず、自分自身のことについてなのに考えの浅さや整理不足を痛感した。さらに、事例問題を用いたグループディスカッションでは、多様な意見が出る中で、それらを単に整理するだけでなく、一つの軸として統合し、全員の意見を反映させた結論に導くことの難しさを感じた。今回の経験から、今後は自分の考えをより具体化し、論理的に伝える力と、他者の意見を踏まえて合意形成を図る力を意識的に高めていきたい。

●法学部法律学科 4年生
今日のWILLの共有は、前回の自己紹介とは全く異なる難しさがあった。自分の本音や内面をさらけ出すことには非常に勇気が必要だったが、語り終えた後は、前回とは比べものにならないほどの充実感を覚えた。初対面のグループワークでしたが、互いのWILLを共有することで、短時間でも相手の価値観に触れることができたと感じている。
講義で扱った演習の事例からは、追い詰められた人間がいかに先入観で現実を歪め、安易な解決策に逃げてしまいがちであるかを痛感した。だからこそ複眼的思考が不可欠なのだと理解した。相手の話を聴く際も、表面的な内容を追うのではなく、その裏側にある価値観を必死に汲み取ろうとすることが重要である。具体的には原因を遡る遡求アプローチと、未来の行動動機を探るインセンティブアプローチ、この両面から相手を立体的に捉える視点だ。また、何が正しいかを断じることよりも、なぜその人はそう考えたのかという背景を問い続けること。この姿勢こそが、深い信頼関係を築くための鍵であると学んだ。これは今後の授業ワークにおいてはもちろん、社会に出て他者と関わる際にも必須のスキルになると実感した。

●経済学部 3年生
WILLを語る自己紹介セッションを通じて、質問の難しさを実感した。
「具体的には何ですか」「何がきっかけですか」といった問いかけをした際、相手が4年生だったこともあり、「面接のようだ」と指摘された。発言に悪意はないと感じたものの、この授業の趣旨に照らすと、相手に圧迫感を与える関わり方は適切ではないと考えた。

自然な対話の中で相手の考えを引き出すためには、問いの形式や文脈の設計が重要であり、どのようにすれば対話的な雰囲気を維持できるのかを改めて考える契機となった。

また、その後のロールプレイに基づく議論では、意見が類似する傾向があり、新たな視点を提示することができなかった。この経験は、別の講義で学んだ大学の多様性(人種・国籍・性別など)を担保するためのアファーマティブ・アクションの議論と重なった。
実際、私たちは慶應の学生であり、三・四年生、日本人といった比較的近い属性を共有するグループであった。そのため、一定の多様性はあるものの、視点の幅には限界があると感じた。だからこそ、ex anteとex postの双方から物事を捉える複眼的思考を意識的に養っていきたいと思う。