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5月18日(月) 第5回交渉学「対話力②」

本日の講義の流れ

▼田村 次朗先生(慶應義塾大学・名誉教授)
▼古山 彰先生(KGRI連携所員) ― 講義・演習

交渉学の講義も回を重ねる中で、受講者の皆様による議論にも徐々に「実践」の色が濃くなってきたように感じられます。

今回は、明治屋相談役の磯野計一様をゲストとしてお招きし、ご講話をいただきました。

磯野様からは、小売業の経営者として歩まれてきたこれまでのご経験、とりわけ「現場との対話」をどのように重ねてこられたのかについて、交渉学との関わりも交えながらお話しいただきました。また、就職活動を控える学生の皆様に向けて、貴重なメッセージも頂戴しました。
長年にわたり第一線で意思決定を重ねてこられたからこそ生まれる視点や言葉には大きな説得力があり、受講者の皆様が強い関心を持って聞き入っていた姿が印象的でした。

後半では、講義を踏まえた演習として、ケースワークでは、利害関係者の立場に立って模擬会議を行うケースと、危機対応を想定したケースに取り組みました。
学生の皆様は、多様なステークホルダーを分析し、それぞれの立場や利害を意識しながら活発な対話を展開していました。
また、回を重ねるごとに利害関係者の分析はより精緻なものとなっており、それぞれの経験や価値観を活かした議論が行われていたことが印象的でした。

履修生の学び 〜講義後に提出される振り返りシートより抜粋

●経済学部 4年
小売業に人生をかけてきた明治屋の磯野さんのお話では、やはり直接的に人間と関わる仕事ではお客様との対話や交渉が一番大切だと学んだ。同時に、人と関わってビジネスを成り立たせるのはどんな仕事でも同じだと思ったので、この授業でいろいろな視点を学び、人との会話の仕方、ディスカッションの上手い運び方を学ぶ意義を感じた。
一つ目のケースでは、自分は5つのステークホルダーしか出せなかったが、すぐきくではみんなの出したステークホルダーが次々と出てきて、視野が足りなかったことを実感した。ただ、チームで出なかったステークホルダーとその視点を詳細に示せたので、多少なりとも示唆を与えられたと思う。それを踏まえた二つ目のケースでは、ステークホルダーごとの視点を挙げつつ、施設理念を究極の目標にして施設運営の方針を決めるべきだという軸を示せた。

●法学部法律学科 3年
今回の授業では、論理的に話すための「因果関係」「演繹法」「帰納法」という三つの思考法について学んだ。特に印象に残ったのは、物事を説明する際には、単に自分の考えを述べるだけではなく、どのような根拠や流れで結論に至ったのかを明確に示す必要があるという点だった。例えば、演繹法では一般的な前提から結論を導き、帰納法では複数の事例から共通点を見つけて一般化するが、どちらも前提や事例に偏りがあると誤った結論につながること、また、因果関係についても、単なる相関関係を因果だと決めつけてしまう危険性があることを知り、日常生活やニュースを見る際にも慎重に考える必要があると感じた。
私は、議論の中で「詭弁」を避ける重要性についても学んだ。曖昧な言葉を使ったり、相手の意見を歪めて反論したりすることは、一時的に自分を有利に見せるかもしれないが、信頼関係を壊してしまう。交渉において本当に大切なのは、相手を言い負かすことではなく、論理的かつ誠実に対話を行う姿勢なのだと感じた。

●法律学部法律学科 3年
本日の講義では、磯野さんの「現場主義」というリーダーシップ哲学から多くのことを学んだ。リーダーが組織から乖離せず、現場の人々と同じ目線に立って考えることの重要性を改めて認識した。自らの立場や権威に頼るのではなく、謙虚に現場の声に耳を傾ける姿勢こそが、真のリーダーシップの根幹にあると感じた。肩書きではなく、現場との対話を通じて信頼を築いていくことが、組織を健全に機能させる鍵であると理解した。
演習のケーススタディーでは、多様なステークホルダーの視点から課題を捉えることの重要性を実感した。一つの立場に固執せず、異なる利害関係者の思考を意識することで、偏りのない議論が可能になり、より本質的な問題解決に近づけると学んだ。
また、初めてファシリテーターを務めた経験は非常に貴重だった。参加者それぞれの意見を引き出しながら、議論を一つの方向性へと収束させることの難しさを身をもって体感した。発言の促し方や議論の流れのコントロールなど、実践を重ねることで身につけていきたいスキルが明確になった。今後の授業や実践の場を通じて、ファシリテーション力を磨いていきたい。